今年もスギ花粉症の季節が近づいてきました。花粉量は平年並みかやや少なめと予想されていますが、東京電力福島第1原子力発電所の事故の影響で、 放射性物質を含む花粉を吸い込み被爆することに不安の声もあります。国は「線量は低く被爆の心配はない」と発表、専門家もマスク着用など例年通りの花粉症 対策を取るよう呼びかけています。
花粉症は細菌などから身を守る免疫システムが過剰に働いて起こるアレルギー症状。スギ花粉がアレルギーの原因物質となり、体内でヒスタミンなどの 物質が放出させて粘膜などを刺激し、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど辛い症状を招きます。国民の約4人に1人が花粉症に悩まされていて、30〜 40歳代の発症が多いですが、近年は小学生も増えています。
花粉症の予防
最も重要なのは花粉に触れないこと。マスクやゴーグルのほか、晴れて気温が高い日や雨が上がった翌日などに飛びやすいのを頭に入れておきましょう。都市部では、昼前後や日没後などが花粉が多い時間帯なので不要な外出は避けます。
また、表面がつるつるした素材のコートや帽子などでガードし、家に帰ったら玄関先で花粉を払い落とし、屋内に持ち込まないことも重要です。洗顔はしっかりとし、鼻洗浄も効果があります。
花粉症の主な治療法
●薬物
症状に応じて抗ヒスタミン剤やステロイド剤などを使い分ける。花粉が飛ぶ1〜2週間前までに服用し始めるのがコツ。
●免疫療法
1ヶ月に1回程度継続して注射を打つ。
●手術
レーザーで鼻粘膜を焼くなど
気になる放射性物質の量については、「人体への影響はないレベル」としていますが、低線量でも体内で被爆するのは事実で、その健康影響ははっきり 分かっていません。今年はスギが取り込んだ放射性物質が花粉に移行しているため、気になる人はマスクなどで花粉を吸い込まない工夫ををすると良いです。花粉対策用のマスクの着用や空気清浄機で取り除くことができます。
間違った花粉症対策
スギ花粉が飛散するシーズンになった。ちまたには、様々な花粉症対策や花粉症に効く食べ物などの情報があふれているが、その中には間違った情報や古い情報も少なくない。医学の世界では5年前の常識は疑えともいわれる。新しく正しい知識による花粉症対策を心がけたい。
間違った花粉症対策に注意しよう!
●花粉症に効くといわれている食べ物や飲み物は本当に効く?
⇒△ 実験で効果が確かめられているものと、そうでないものがある。例えば乳酸菌の場合には、菌の種類にとっても違う。いずれにしても、「症状が重い花粉症の場合には医療機関での治療を」
●花粉の量が少ないと、花粉症は軽くてすむ?
⇒△ 花粉の数が少ないので、症状がひどくなる日が少なくなる可能性はある
●雨の日は花粉症対策をしなくても大丈夫?
⇒× 雨が降っているときには花粉はほとんど飛散しないが、降り始めには飛散数が増えることも。また、雨の翌日には飛散量が増えるので要注意
●花粉症の人はコンタクトレンズを外した方がいい?
⇒△ コンタクトレンズで眼球が覆われると、花粉の付着を防いでくれるので、コンタクトレンズを着けて度の入ってない眼鏡やゴーグルをするのがベスト。ただし、目のかゆみなど、結膜に炎症が起こっている場合にはコンタクトレンズは外した方がいい
●花粉を落とすためには目を洗った方がいい?
⇒× 目を洗うと、涙液が薄まったり、変化したりして刺激になるので、かえってかゆみが出ることもある
●市販薬よりも処方薬の方が効く?
⇒○ 一般的には処方薬の方が市販薬より効く。最近では、処方薬と同じ成分のものが市販薬になっているが有効成分の量が少ない
●眠くなる薬の方がよく効く?
⇒× 薬の効き目と眠気の起こりやすさは関係ない。運転をする人や受験生は、眠気の起こらないタイプの薬を。